長女の卵アレルギーが判明し、治療が始まりました。
まずは主治医より「卵黄ボーロをいくつまで食べられるか調べてきてください」と宿題をもらい、自宅で試してみることに。
さて、卵の白身「オボムコイド」に対する、長女の反応はどのくらいなのでしょうか。
【卵白についての耐性】
卵黄ボーロを毎日1粒ずつ順調に増やしていって、20粒食べても何の反応も出ないことがわかりました。
通院日、主治医にそのことを告げると、
「やはり卵黄、微量の卵白は食べられるということなんですね。
そういうタイプが一番多いんですよ」
主治医によると、
- 卵黄は食べても良い
- 卵白は全卵から取り除いて、取りきれなかった分(微量の卵白)は食べられる可能性あり
- 家庭で調理したものでは加熱が不十分な場合があるので、
食べさせていいのは市販のお菓子など高温調理してあるもの
これから卵白の割合を増やしていきながら、その限界値を調べていきます。
次に試したのは全卵を使った、ごく普通のボーロです。
卵黄ボーロは卵白を取り除いた材料で作られています。
機械や人の手作業で取りきれなかった卵白が少量含まれているお菓子です。
対して全卵を使ったものは、卵白も同程度の量入っていますので、
これが食べられれば他の卵を使った焼き菓子などが食べられるということがわかります。
逆に、もし何らかの反応があれば、普通に売られているクッキーやケーキなどの卵を使ったお菓子などの食品は食べられないということになります。
【経口負荷試験】
結果から言うと、長女は全卵ボーロも問題なく食べることができました!
今回も少しずつ数を増やしていき、20粒以上食べても
卵黄ボーロと同じく、何も症状が出ませんでした。
主治医によると、
「加熱が十分な卵は食べられるだろう」ということでしたが、
これを確定させるにはさらにもう一段階、テストが必要でした。
それは「経口負荷試験」と呼ばれるもので、
小児科病棟に1日入院して、主治医の監視のもと、実際に卵を使った料理を食べてみるという試験です。
今回は全卵1個を使ったホットケーキを焼き、それを4等分したものを用意します。
卵アレルギーがあるとわかってから、もう作ることはないだろうと思っていたホットケーキ。
長女も初めて見るホットケーキに興味津々。
「いいにおいだねえ☺️💕 」
「丸くてかわいいねえ☺️💕」と嬉しそう。
もし食べられなかったら、ママの作ってくれる手作りおやつの定番とも言うべきホットケーキも
諦めなくてはいけない…。だとしたらとってもかわいそうだな…。
そんなことを考えながら、自宅で試験に使うホットケーキを焼いていました。
【検査のスケジュール】
ここで「経口負荷試験」のスケジュールを紹介します。
1.身体測定、バイタルチェック
身長と体重を測った後、血圧・酸素濃度・体温を測ります。
主治医より聴診器で胸の音を聞いてもらいます。
2.試験対象の食品を4分の1摂取する
私たちの場合はホットケーキ4分の1枚、卵の量も4分の1になるものを食べてみます。
3.バイタルチェック、反応観察
食べた直後に血圧・酸素濃度・体温がどう変わったか測ります。
付添人(保護者)が発疹や呼吸の異変などがないか観察します。
主治医も何か異変がないか、一緒に確認します。
ここで異変があれば検査は中止、必要な治療をします。
〜1時間後まで 10分おきにバイタルチェック〜
4.試験対象の食品4分の3摂取する
残りの4分の3を食べます。
5.バイタルチェック、反応観察
再度、食べた後の血圧・酸素濃度・体温の変化を調べます。
付添人と主治医で発疹・呼吸の異変などがないか確認します。
〜1時間後まで 10分おきにバイタルチェック〜
6.昼食
異変が何もなければ昼食、休憩です。
主治医も席を外し、あとは付添い人が様子を見ながら自由に過ごします。
ここで試験を受ける患者には病院食が用意されましたが、負荷試験の対象となる食品以外にも
アレルギーを持っている場合は、それを完全に除去したものでなくてはいけません。
もしも他のアレルギーのある食品を食べてしまっていたら、反応が出た場合、何で反応が出たのか、本当のところがわからなくなってしまう可能性があるからです。
そこで看護師と付添人とで昼食の内容を一つ一つチェックし、アレルギーのない原材料であることを確認しました。
ちなみに付添人の分の食事は用意されませんので、自分で用意しました。
うちの子はそれを欲しがってしまい、本当に大変でした😅
万が一、卵の他にアレルギーがある食品を食べさせてしまったら、何のために看護師さんと除去食の確認をしたのか、意味がなくなってしまいますから、絶対にあげるわけにはいきません。
今回の検査で一番大変だった瞬間です。😓
7.バイタルチェック
昼食後1時間経ったら再度、主治医よりバイタルチェックと発疹や呼吸の異変の有無を確認してもらい、問題なければ今日の検査は終了となります。
その後は自由に過ごして夕食、就寝。
次の日の朝まで何もなければ退院となります。
【検査結果】
長女の場合、今回の負荷試験中には一度も異変が起こらず、
バイタルチェックの結果も問題なかったので、次の日の朝に退院してきました。
主治医によると、「加熱が十分であれば卵1個は食べられる」
「以前炒り卵でアレルギー反応が出たのは加熱が甘かったからかも」
「卵ボーロを食べ続けてきたことで、卵に対するアレルギーが改善されたのかもしれない」との見解でした。
アレルギーの研究はまだ発展途中であり、専門家の間でも意見が分かれているそうで、
まだ断定できないことがたくさんあるとのことです。
それでもこの検査結果によって長女のアレルギーの耐性が判明し、今後どのように食べさせれば良いか、何に気をつければ良いかわかっただけでも、意味のある試験だったと思います。
【安全な方法で、安全な量を食べ続ける】
経口負荷試験の結果をもとに、主治医から食事指導がありました。
それは「今回食べることができたホットケーキと同じ分量、同じ調理法で、
できれば毎日欠かさずに摂取すること」です。
以前はアレルギーを治すには、対象の食品を完全除去するべき、と信じられていたそうです。
ところが改善されるどころか、ますます症状が重くなったり、食べられる量が減ったという研究結果が出たそうです。
そこから研究が進められ、アレルギーを改善するためには、食べても症状が出ない・もしくは症状が出ても軽度である、安全な方法(調理法・時間帯など)と安全な量(食べる量・混ぜるものとの割合)で食べ続けることが大切だと言われるようになりました。
その安全な方法・安全な量を見極めるための「経口負荷試験」なのです。
この試験の結果から、適切な食事の方法を知り、実践していくことがアレルギーを改善する近道だと思います。
実際、1歳の時たった一口の炒り卵を食べてアナフィラキシーを起こした長女も、
主治医の指導により毎日アレルギー症状が出ないレベルの量の卵を少しずつ摂取したことで、
1年後には保育園の給食で出る卵焼きや、デザートのプリンも食べられるようになりました。
もちろん、その人によって改善するかどうか違ってくると思いますが、自分や子供のアレルギーを治したい!と本気で悩んでいる人には、試してみる価値があるのではないでしょうか。
【アレルギーかな?と思ったら専門医に相談!】
長女がアナフィラキシーを発症したあと、初めはもともとかかりつけだった小児科クリニックに行きました。
そこでも簡単な検査はできたのですが、症状が重かったことから、もっと詳しく診てもらえるようにと総合病院への紹介状をもらいました。
その総合病院で出会ったのが、現在の主治医です。
その先生は小児科医ですが、医学生だった時からアレルギーに関しての勉強をしており、医師になってからも積極的に学会に参加して最新の治療法を知るなど、研究熱心な方でした。
長女を連れて診察に行くと、いつも私の話を丁寧に聞いてくれたり、細かく指導してくれます。
また疑問に思ったことは何度でも教えてくれますし、「忘れないように」と指導内容のメモまで作ってくれる先生でした。
特にアレルギーのある食品を食べさせる際の調理法の相談にも乗ってくれるので、とても頼りになります。
もしかしたら自分や家族はアレルギーがあるかも、この症状はアレルギーでは?と思ったら、
すぐに検査してもらい、もしアレルギーがあると判明したら、専門医に相談することをおすすめします。
耳鼻科や皮膚科でもアレルギーについて相談できますが、できれば
「アレルギー科」へ行くとさらに専門的な指導をしてもらえます。
今では小児科や内科でも「アレルギー科」が含まれている病院も多く見かけるようになりました。
ぜひお近くの病院ではどうか、気にしてみるといいと思います。
また、もし今かかっている病院の治療法が納得いかないという方、長く通っているけれどあまり
改善されていないと悩んでいる方がいたら、別の病院を検討してみるのも手だと思います。
専門医によって、アレルギーに対する知識の量や質に差があったり、治療方針が違っていたりする場合もあるからです。
あなたのかかりつけ医が指導する治療法が、あなたに合っているとは限らないのです。
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